携帯電話が鳴りTさんだとわかり、何だろうと思い電話に出てみると「井上、俺の家が傾いたぞ」と言う電話でした。
 冗談でしょと電話口で答えたのですが、一瞬頭の隅にそうだ崖っぷちだったと思い出し、本当かもしれないと思いました。
 Tさんの土地は祝谷の池の横の高台にあり、すぐ後ろは10m以上の崖になっています。この土地は道後校区という事でどうしてもこの土地が欲しくて、私が八幡浜の持ち主の所まで交渉に行き購入した土地でした。
購入時は地震が起こることなど考えもせず、見晴らしも良く、いい土地が買えたなあという思いでした。
 当時は、ベタ基礎ではなく布基礎でした。
 私の家も布基礎です。10年前に田んぼを買って、すぐに造成工事をし家を建築しましたが、私の家は基礎にひびわれさえありません。
 
話がそれましたが、その電話を受け、すぐにTさんの家へ行くと、目で見るだけではわからないのですがよく調べると外壁にもクラックが入り、少し傾いているように思えたので床下に入ってみました。
 すると、崖から3m位の所で地面に10cm位の亀裂が入り、崖側の土地が下がっていました。
 さらに、崖側の基礎はなんと鉄筋が入っているにもかかわらず丸く膨らんでいました。
 崖側のよう壁が傾き中の土が下に流れ落ちたのでしょう。
 液状化現象ということです。
 次の日からこれをどう直すかという事で毎日通い、夜9時〜10時まで話し合いました。
 不幸中の幸いといいましょうか、この方は地震保険に入っていてくれたのです。
 住宅金融公庫を借りていて、公庫の地震保険に入っていて外壁にALCを使用していたので通常の半額位だったのです。
 保険会社から調査が来て、半壊という事になり保険が新築時の1/4出ることになり、全て直すことができました。
 私がこの時感じたことは、土地を選ぶ時は眺めは確かに良いかもしれませんが、崖の側や横に川があるという場所の怖さです。
 土地を勧める時もそういう事にも気を使ってお世話をするべきだという事が本当によくわかりました。
 私共がもっとそういう事も配慮して家を建てていればこういう事も起きなかったかもしれません。
 T様にはこの場を借りまして深くお詫びいたします。
 本当に申し訳ありませんでした。