20年位前、私が今の仕事をやり始めた頃の話です。
 当時私は木造住宅というものを、完全に理解出来て無かったように思います。
 その頃はまだ、プレカットでは無く、全て手加工でした。
 棟上も、レッカーは使わず、一本々手で起こしていた時代です。
 私共の監督(大工さん上がり)が、木材の拾い出しを行っていました。
 当時の事であまり確かな記憶ではありませんが、その監督の拾い出した材木の価格が
高いんじゃないかと思ったのです。
 そこで、別の大工さんに木材の拾い出しをお願いしたのです。
 結果、その大工さんの拾い出した価格の方が安かったのです。
 やはり、何でだろう、どうしてだろうと、その監督の拾い出しに疑問を持ちました。
 後で判るのですが、その頃の私は細かい所まで考える事が出来ず、総金額だけで判断し疑問を持ってしまたんです。
 何が違うのか、組み方が違うのか等、色々考えは浮かびます。
 その価格差を細かく追求した結果、次の事がわかりました。
 木の大きさが全く違うと言う事です
 その理由は、当時はプレカットでは無く、全て手加工です。
 手加工では40坪の家では、墨付け、きざみと言う手順で、約20日くらい掛かります。
 それも、大工さんが、材料を一つ々手で抱えて運びながら、行うのです。
 これが、すごい重労働なのです。
 それで、実際に仕事する大工さんは少しでも、軽い材料を選びたかったのです。
 もちろん大工さんなりに、構造の事は考えていたのでしょうが、構造上大丈夫だろうと言う、最低限の材料だったのです
 私共の監督は構造上の余裕をとり、安全なようにと、少しでも大きな材料を選んでいたのです。
 そういうを事判らず、疑問を持った私自身を恥じると共にこの事は、すごく良い勉強になりました。
 今現在は私共の監督で拾い出した材料で構造計算をして、耐震の最高等級が取得できる様にしています。
 地震に強いと言う事は当たり前ですが、これからもそういう事に真面目に取り組んで
行こうと思っています。